我が国が先進国のなかでもかなり深刻な状況であることを、あなたは御存じですか? 「え、何のこと?」 「いっぱいあるけど、どのことかしら?」 もしそう思われているなら、あなたの現状認識はかなりクールです。 おっしゃる通り、我が国は問題を山ほど抱えてますから(笑)。
さて、ここでは深刻な女子の体重減少についてお伝えします。日本女性の健康状態に危機感!と、多くの専門家は考えています。何しろ昨今の女性の体重の少なさはどうでしょう。痩せている方が美しいと思うのはなぜでしょうか。メディアの影響を強く受けているに違いないと思われるのですが、日本の女性の痩せ具合は先進国の中でもとりわけ目立つと言われています。少子化が叫ばれて久しい我が国ですがとりわけ不妊大国でもあり、日本の不妊治療は米国の約4倍です。もちろん原因はさまざまで不明なところも多々あります。
私が感じるところを申せば、まず日本女性は冷え症が多すぎる、そして二番目に痩せている方が多すぎるのではないかということです。冷えが多いというのは自覚的にそのように感じる方もかなりいますし、私が‘気’で冷えと判断できることも多いからです。当然ですが、冷えの自覚のない方もいらっしゃいます。しかし、冷えというものは自覚される方を除けば治療は難しいことかもしれませんし、測定することができないし、可視化できないことを論じることは不信感を煽ることもあるので、ここではそのような傾向があるということに留めたいと思います。
一方でBMI(body mass index)はどなたも体重(Kg)を身長(m)の二乗で割ると計算できますから、それで計測した科学的な論拠をもって不妊の傾向を知ることは可能です。昨年2022年のアメリカでの研究がInt J Gen Med. 2022; 15: 1821-1831.に掲載されていました。『ボディマス指数(BMI)と女性不妊症の関連性』という題名の論文で、2013-2018の米国民健康・栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey)のデータ解析をしたものです。妊娠可能な年齢の女性における肥満度(BMI)が不妊どう影響を及ぼすかについて、参加者3623人のデータを用いての横断研究をおこない、BMIと妊孕性(妊娠しやすさ)を評価したところ、BMIと不妊は関連を示しており、BMIが<19.5kg/m2の場合、BMIが1単位増加するごとに不妊のリスクが33%減少し(つまり、痩せ具合が過度になるほど不妊傾向が大きく増す)、他方で、BMI≧19.5kg/m2の場合、BMIが1単位増加するごとに不妊のリスクが3%増加することが予測されたという結論でした。不妊とBMIの関係がU字型の曲線を描いていたこともあり、19.5kg/m2が変曲点として見出せたということで、BMIが両極端になるほど妊孕性が減少する(不妊傾向が増す)ことが予測される傾向があるということです(しかし33%という数字はすごいことですよね)。本研究は、妊娠準備中の女性が適切なBMI値を維持することを支持するというコメントでした。なんだか当然のことのように思われます。
日本人の女性にとって痩せていることは美しいことなのでしょうか? そこに何らかの感情がこもるようなことなのでしょうか。 ちなみにBMIの標準値は22です。正常値は18.5~25です。
他の研究をみると、妊娠希望の方はBMIが正常値くらいでちょうどよく、それ以下でもそれ以上でも妊娠が成立するのに時間がかかると言われています。
一方で食べても太れない方がいらっしゃるのは事実です。 そのようなときにはかかりつけの内科や産婦人科でご相談ください。あなたの腸が原因かもしれません。
極端なダイエットは身体にマイナスの影響をあたえます。 ここでは不妊症について触れましたが、不妊だけでなく極端な痩せは妊娠中でも影響を及ぼし早産の確率が高くなるという報告が多数見られます。極端なことは何でもよくないみたいですね。
とにかく瘦せることが正しいと思っているのか、あるいは、極寒の時期にも関わらず薄着をして極端に風通しの良い服装でカッコつけながらガタガタとスレンダーな足を震わせてるタレントたちや、周りを気にし過ぎて、本当の健康から遠ざかっている女子たちがいることに強い危機感をおぼえます。本当に深刻な問題です。そこからくる栄養不足も深刻なんですよ。このことに関連して次回はビタミンDの話をしたいと思います。
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